ハラスメントを生む発想を変える

 

すっかり耳慣れてしまった「ハラスメント」、現在その種類はアカハラ・マタハラ・オワハラなど50近くに上っています。複合型などもあり、さまざまな場面や内容で増え続けています。
ハラスメントとは権力・能力・多数派・性別など何らかの優位に立つ人による「いじめ・嫌がらせ」のことです。
大問題には至っていないが小さなハラスメントが日常的にあって、職場の雰囲気がギクシャクしていることはありませんか?大人同士のはずなのに、なぜこんなことが起きるのでしょう。
事件になるようなハラスメントについての解説、対策対処マニュアルや指導要領などは広く出回っています。ここでは日常的に職場で起きる無神経なハラスメントに対する、根本的な改善策を提案します。

想像力の欠如が生む「~だろう判断」

ハラスメントの本質的な原因は、社会の価値観や企業の体質よりも、いつでもどこにでも、人が2人以上いれば存在する考え方のギャップです。問題はハラスメントをしてしまう人の想像力の欠如です。
ハラスメント行為をするほとんどの人は言います。

・「そんな風に受け取られるとは思わなかった」
・「悩んでいるとは知らなかった」
・「こちらの真意はわかっているだろうと思った」
・「冗談(または教育)のつもりだった」
・「同じ職場のことだから、理解していると思った」

こちらの「つもり」が相手に通じているだろうと思うのが「~だろう判断」です。こちらの「つもり」とは別に、相手にとって苦痛に感じられることはハラスメントです。
日頃から、コミュニケーションが取れていて信頼感があれば、「つもり」は話せばわかることが多いのです。ハラスメントを受ける側も険悪にならずに抗議や訂正要求ができるものです。コミュニケーションの下地ができていないと、誤解は亀裂を生み深い溝になりかねません。ハラスメントは小さなうちに、なるべく早く取り除くことが肝要です。

社会で実績を上げてきた自負などから、自分の人間性も判断も発言も優れて正しいと思い込んでいるとハラスメントの改善はできません

「~だろう判断」から「~かもしれない判断」へ

1. 「礼儀正しいコミュニケーション」を活発にする
日頃から率直な意見交換ができる職場環境が理想です。不快事があれば穏やかに抗議できるほどコミュニケーションが密であることが必要です。
しかし密であることと、慣れ慣れしい事とは別です。アットホームな職場であっても、家族ではありません。初対面のように、くだけすぎない礼儀正しい距離感がハラスメントを防止します。
礼儀を無視した暴言暴力など感情をコントロールできない人には、過度のストレスまたは心理的な発達障害などに対する、別のケアが必要な場合もあります。

2. 「そうではないかも知れない」と考える
自分に都合の良い「だろう判断」をやめてみましょう。こちらの「つもり」はどうであれ、厳しい指導はつらいだけなの「かも知れない」、本当は嫌がっているの「かも知れない」、と逆の意思の可能性を考えるのが「~かも知れない判断」です。思ったことを口に出す前に、「そうではないかも知れない」「自分が言われたら嫌かも知れない」と想像してみましょう。
そして「もしかしたら自分の指導方法は間違っていたのかも知れない」「もしかしたらプライバシーの侵害、無礼な憶測なのかも知れない」などと自身のハラスメント言動に自ら気づいて率直に詫びることができれば、ハラスメントは少しずつ改善してくるはずです。

ハラスメントを見かけたら

事件になるほどの大問題であれば担当部署や上長に訴え出て、しかるべき対処または手続きになります。しかし、もっと小さな火種のうちに改善できるに越したことはありません。

ハラスメントを行う人に対しては、ハラスメントの犯人として吊し上げるより、他人と自分の価値観の違い、礼節を知っている人としてのプライドを促しましょう。それなりの努力をして今日に至った人らしくない言動は、周囲からの信望と自身の品位を落とすだけであることを陰で知らせましょう。
功労者が部下を見下す組織だとしたら、企業にとっても社会的な信頼の損失につながる不祥事になりかねません。企業人として「誰も馬鹿にしない」礼節をもってもらいましょう。

 

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